株式会社シーエーシー(以下、CAC)はプロダクトオーナーを務める平井健太郎(写真左)のもと、社員同士を自動的にマッチングし、コミュニケーションの機会を作るツール『hashigake(ハシガケ)』を展開している。現在は2024年内の製品版リリースを目指し、MVP版(テスト版)による効果検証と機能のブラッシュアップが進められている。
今回は事業を推進する平井、CAC内での導入推進を担当する西村朋子(写真中央)、同じくプライマル株式会社で導入推進を担当する北尾晟啓(同右)さんの3人による鼎談を実施。実際にユーザーでもある3者の立場から、『hashigake』がもたらす効果や、その魅力について語ってもらった。
>>組織活性化を図る1on1コミュニケーション『hashigake(ハシガケ)』プロダクトサイト
2013年に株式会社シーエーシーに新卒で入社。2016年から業務自動化分野における新規事業に参画し、2018年以降は統括PMとして複数プロジェクトをリード。2023年に新規事業開発本部に異動後、様々な企業、社員の声を聴く中で多様化の時代におけるコミュニケーションの希薄化と、その解消の困難さを痛感。この課題を解決するため組織活性化支援サービス『hashigake』を立ち上げ、現在は事業責任者として事業開発をリードする。
>>ランダム1on1でコミュニケーションの橋を架ける『hashigake』で目指す世界とは
1999年に株式会社シーエーシー入社。産業系のシステム運用部門に配属後、飲料メーカーのシステム運用担当や海運業の保守運用プロジェクトマネージャーを務める。2015年より経営企画部に所属。社内提案イベントや表彰制度の見直しなど風土改革に繋がる施策に多く関わっている。現在は、中期経営計画の社内浸透を主に担当し、定期的な動画配信を始めとして、社内に向けた発信を多く行っている。2020年5月から社内podcast "ともらじ" の配信を開始、現在も継続中。
2022年プライマルに入社後、臨床検査データを活用したtoCの新規事業の立ち上げに従事。検査技術・データを基軸としたセルフメディケーションの促進、プロモーション企画、営業推進における戦略策定を経験。その後、大手独立系ソフトウェア会社にて、医療機関連携システムやAI介護見守りシステムなどのヘルスケア領域の新規事業の立ち上げに携わる。リアルな現場の声を収集し、AIやIoTを組み合わせた事業アイデアの想起から、成果を追求するまでの伴走力に強みを持つ。
——それぞれの『hashigake』との関わりについて教えてください。
西村 『hashigake』はCACの新規事業開発本部で開発しているプロダクトですが、CACが1ユーザー企業として利用するにあたって、その導入支援を担当しています。平井と連携しながら、社内の人に『hashigake』の良さを伝えつつ、使ってもらえるようにプロモーションしています。
平井 私はプロダクトオーナーとして『hashigake』の事業を推進しています。社内で導入しているのですが、私自身は外部のプロダクトベンダーの位置付けで、西村を通して、CAC社内の部長会などで『hashigake』の話をしていただいたり、社員の方々に使ってもらえるよう働きかけをしていただいたりしています。
北尾 私は新規事業のコンサルティングを行うプライマルという企業に所属しています。もともと『hashigake』を含む新規事業開発本部の新規事業コンサルタントという立ち位置でCACさんとご一緒させていただいていました。『hashigake』は今年の4月くらいから関わらせていただいており、コンサルティングに加え、プライマル社内でも導入し、プライマルからのフィードバックを返すという形で『hashigake』の支援を担当しています。
——『hashigake』について初めて説明を受けたとき、どのような印象を持ちましたか?
北尾 正直なことを言っていいですか(笑)?
平井 もちろんです。
北尾 私は口達者なほうで、いろいろな人とガツガツ話せるタイプなんです。だから、これがなくても私だったら誰とでも話せるかなって思っていました(笑)。
西村 私も、はじめに話を聞いたときは億劫だなと思ったのが正直なところです。もちろん、面白そうとも思ったのですが、少し面倒だなという印象でした。
——こういった反応も予想されていたのでしょうか?
平井 はい。それはもう覚悟していました。ただ、例えば10人いたとして、北尾さんのように自分からどんどん話しかけていける人って、2人くらいじゃないかと思うんです。残りの8人くらいはなんとなくつながりを増やしたいと思っているけど、なかなか自分から動けない方々だろうなという感覚がありました。
——CACで導入することになった経緯を教えてください。
西村 一番は(西森良太)社長が乗り気だったのが大きいですよね。
平井 確かにそうでしたね。もともと自社の課題を解決したいというのが出発点だったこともあります。また、企画の段階で社長を含む上層部にプレゼンする機会があったのですが、そこで社長がいたく気に入ってくださって。「社長がこういっていますから」を口説き文句に社内で導入を進めることができました(笑)。
——社員の方々の反応はいかがでしたか?
西村 最初に説明会を開いたときは、思ったよりも多くの人が集まった印象でした。まずは役職者の方に『hashigake』に登録してもらうようアナウンスをしたので役職者の方と、それから社員の中で興味を持った方が登録してくれました。その後は少し登録者の伸びが落ち着いたのですが、今年(2024年)7月に『hashigake』の機能や導入の狙いが伝わる動画を制作して、全社員に向けて発信したところ、また登録者が増えてきました。実際に活用いただいた方には継続してもらえているので手応えを感じています。
——その後、CACでの本導入を経て、プライマルで初めて社外で導入されることになりました。
北尾 弊社は100人くらいの規模なのですが、それが10人弱のチームに分かれていて、チームごとにマネージャー、メンバーとピラミッド型の組織になっています。このチームごとにノウハウが凝縮されていているのですが、コロナ禍によるコミュニケーション減少もあり、チーム間の情報共有が減っているという現状がありました。それを改善していこうという機運の中で『hashigake』というピッタリなものがあるじゃないかと。私から社内に提案したところ、すんなり通りました。
——社外で使われることについて自信や不安はありましたか?
平井 社内でどういう反応が返ってくるかはある程度予想がついたのですが、別の企業で使われたときの反応がどうなるかは……。それこそ0か100か、批判だけが来る可能性もあるなと思っていました。
北尾 うちは新規事業をやっていて、新しいことに前向きな人が多い会社です。たくさんの方がすぐに登録してくれました。ただ、最初はCACさんのようにうまくいかないだろうなと思っていました。「忙しいから」「客先に常駐するから」っていう反応が出るかなと。でも蓋を開けてみたら、平井さんがおっしゃったように、潜在的にコミュニケーションを取りたいと思っている“8人側”の人が多かったんです。「関わったことのない職種の人と話すことができた」「新人同士で話すことができた」など好意的な反応が届きました。
——皆さんが実際に使ってみた感想を教えてください。
平井 CACに10年いますが、こんなに話したことがない人ばかりだったんだなって気づきました。名前だけ知っている人、会議に同席したことはあるけど1対1で話したことはなかった人、そんな人とつながりができてうれしかったです。
西村 仕事の接点がない人とも話せるのがいいですよね。全然関係ないからこそ話せることもあるなって思います。
北尾 おそらく同じ業界の支援をしているんだろうな、くらいの認識だった人と会話することができました。改めて話してみると別のお客さまでも共通している課題があって、「じゃあこういう提案、コンサルティングができないか」と具体的な話まですることができました。私以外のところでも『hashigake』から生まれるアイデアがあって、仕事や案件に直結しているので、『hashigake』を導入するメリットが出ているんじゃないかと思います。
——印象的なトークはありましたか?
西村 あるリサーチをしているときに、「こういうこと知っている人いないかな」と探していた人と偶然マッチングしたことがありました。そのときは「『hashigake』すごい!」と感動しました。
また、私は高校生の子どもがいるのですが、子どもが大きくなると、会社で子どもの話をすることがなくなっていくんですよね。そんな中で自分の子どもよりも年上の子どもを持つ社員の方とお話しする機会があって、久しぶりに子どもの話をしたんです。それがすごく新鮮で。お互いの子どもの彼氏彼女の話で盛り上がっちゃいました。初対面の方だったのですが、15分じゃ全然足りないくらいでした。
どの回も、トーク前は「面倒だな」と思ったり、「どんな人だろう」と不安になったりしますが、始まってしまえば毎回笑顔で終わってるんですよね。自分が元気になっているなという実感があります。
北尾 トークではないですが、『hashigake』を導入したことで全く違うチームの新卒の方から「北尾さんのおかげでコミュニケーションを取れる人が増えました!」とチャットが届いたんです。私としては「こちらこそありがとうございます」みたいに鼻高々で。私が作ったわけではないんですけど、そう言ってもらえるのは導入担当者としてとてもうれしかったです。
——トーク後、『hashigake』外でコミュニケーションを取ることもありましたか?
西村 ばったりエレベーターで一緒になって、少しですが会話することがありました。『hashigake』がなければこういう会話は生まれなかったなって思います。あとは社長が『hashigake』でトークした若手社員と飲みに行ったと言っていました(笑)。
平井 私ではないのですが、細々と活動していた広島県人会に新たな動きが生まれた、という話を聞きました。もともと2人で活動していたところ、『hashigake』で別の広島県出身の方が見つかったようで。今は3人で活動しているそうです。
北尾 めちゃくちゃ橋が架かっていますね! プライマルではまだそういった話は聞いていないので、この事例をまた共有したいと思います。個人的には役員の方とマッチして、お酒の場に連れ出すきっかけを作りたいですね(笑)。
——『hashigake』の魅力はどこにあると思いますか?
西村 話す機会が与えられる、というのがすべてだと思います。北尾さんの普段のスタイルは、自分がコミュニケーションを取りたいと思った人と取る、ですよね。『hashigake』は逆で、思ってもみなかった人とも話す機会が与えられるのが魅力だと思います。
北尾 私は少しの強制力と、偶然のバランスがすごくいいなと思っています。話しかけるのは得意なのですが、使っている中で「そういえば話しかけられることはあまりないな」と思うことがあって。『hashigake』を使うことで、「あ、これがコミュニケーションだ」と気づくことができました(笑)。
平井 話しかけられることがあまりなかったんですか?
北尾 そうなんですよ。基本的にずっと私が話しかける方で。「北尾さん、ちょっといいですか」って聞かれることがなかったんです。
平井 バランス、大事ですね(笑)。
北尾 本当にそうだと思います!
平井 今の話にも通じることだと思うのですが、自分から取るコミュニケーションって偏りが生まれるんですよね。自分からたくさんコミュニケーションを取っているつもりでも、自分と同じような考えを持っている人としか話していないような状況も多いのではないかと思います。
——どのような企業に『hashigake』がフィットすると思いますか?
北尾 私たちプライマルのようなコンサルティング業、それからメーカーの営業、システム開発を行うSIerなど、社内で業務としては同じだけど領域が複数ある企業は効果が高いんじゃないかと感じています。
平井 おっしゃるとおりだと思います。1社の中に複数の事業部があるような企業、社員数で言うと500人を超えてくる企業が『hashigake』にフィットするのではないかと思っています。ほかにはプライマルさんのように各チームの分業制のようなところや、1人が1クライアントを担当してノウハウが個人に凝縮されているような企業は親和性があると思っています。
——CAC内でさらに広めるにあたって、どのようなことを考えていますか?
西村 社内では一貫して「気軽にやってみましょう」というスタンスで発信しています。考えると嫌になってしまうことって多いと思っていて。
コミュニケーションが億劫な人は多いと思うんです。エンジニア気質が強いCACの社風を考えると特に。だからこそ気軽にやってみてほしいとアナウンスをしています。実際に『hashigake』で会話をしてみた方の満足度は高く、継続してもらえているので、この輪をどんどん広げていけたらいいなと思います。
——今後の『hashigake』に期待することを教えてください。
北尾 社外の人と話をしてみたいなって思います。例えば同じコンサルティングのマネージャー同士、プロデューサー同士で話をしたらどうなるかなと。ここはぜひ、お願いします(笑)。
西村 個人的には『hashigake』を導入する企業が増えて、別の企業で『hashigake』を利用した人と『hashigake』で知り合いたいと思っています。社外にも橋を架けていってほしいですね。
平井 社外とのつながりを作っていくことは考えていますので、ぜひやっていきたいと思っています。今はつながりを作るのが社内なのですが、これがグループ企業に広がり、別の企業に広がり、どんどん交流が生まれれば、『hashigake』が橋を架けることでイノベーションが巻き起こる世界を作れるんじゃないかと思っています。ちょっと先の未来になるかもしれませんが、そういう世界を実現したいと思っています。
>>組織活性化を図る1on1コミュニケーション『hashigake(ハシガケ)』プロダクトサイト
>>CACのD&I推進とコミュニケーションサービス『hashigake』への大きな期待