hashigake

株式会社シーエーシー(以下、CAC)は2023年12月、社員同士の多様なトークを促し、組織活性化を図るコミュニケーションサービス『hashigake(ハシガケ)』のMVP版(テスト製品)をリリースし、2024年3月からは社内の正式なツールとして導入している。その『hashigake』のサービスオーナーである平井健太郎(写真左)と、CACの代表取締役社長西森良太(同中央)、サステナビリティ推進担当執行役員島田優子(同右)に、D&I推進と『hashigake』の活用法について聞いた(聞き手はCAC 経営統括本部経営企画部西村朋子)。

CACが推進する「D&I」

D&Iとはダイバーシティ&インクルージョンの略称であり、「ダイバーシティ」は「多様性」、「インクルージョン」は「受け入れる」という意味を持つ言葉だ。すなわち、D&Iとは、多様性を受け入れることを表す。多様性を認めて受け入れ、尊重することによって、誰もが能力を発揮できる環境を整えていくことを目指す。

CACは「D&I推進」を掲げ、その達成に向けて様々な取り組みを行っている。実際、どのような考えの下でD&I推進に取り組んでいるのか。そして、具体的にどのような施策を行っているのだろうか。

D&I推進とそのための取り組み

――CACのD&I推進について、西森社長のお考えをお聞かせください。

西森 我々は2030年に向けて「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」というビジョンを掲げています。

我々が今後、サステナブルに経営をしていくためには、いろいろなアイデアを出せるような環境を作らなければいけません。そのアイデアを出すためには、多様性と、それを認める環境が必要だと思っています。皆さんにも多様性を認めてもらい、実践してもらうことが非常に重要です。

――次に島田さんに伺います。D&Iの各取り組みについて教えていただけますか。

島田 D&Iについては、まず全社員向けの研修と意識調査を行っています。毎年、基本的な知識をインプットしたり、浸透度合いを測ったりということに取り組んでいて、2024年は7月に研修を実施、8月に意識調査を予定しています。

さらに、全社員向けの施策として『hashigake』と『ダイバーシティカフェ』の2つがあります。これらは、D&Iのインプットだけでなく、実践する場として機会を設けているものです。さらに、対象者が限られる施策になりますが「グループメンタリング」と「女性役職者ワーキング」、それから男性社員の育児休業の推進もしています。このように、皆さんがどのような状況でも働きやすくなる、活躍できる環境を作るための施策を行っています。

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『hashigake』はD&I推進につながるコミュニケーションツール

『hashigake』は自身のプロフィールを登録するだけで、システムが社内で相手をマッチングし、時間とテーマを設定してトークを促すサービスだ。自身から働きかけることをしなくてもスキマ時間で会話の機会を得ることができ、社員同士のつながりが増え、その中で互いが多様な考え方を知り、理解を深めることができる。

トークは登録したプロフィールと予定表の空き情報をもとにランダムに決められる。社内の全く接点がなかった相手や、立場や年齢が大きく異なる相手とトークをする機会もあり、それによって新しい意見や考えに触れられると同時に、今まで知らなかった自分を発見することもできる。つまりは「計画的偶発性」によって多様性を理解し、D&Iを推進できる社内コミュニケーションサービスなのだ。

CACでは正式導入から半年弱が経過しているが、毎月の満足度は85%以上をキープし続けるなど、参加者からは好評を得ている。

社内のコミュニケーション量を上げる施策としてこれ以上ないもの

――お三方とも一人の利用者として『hashigake』に参加しています。所属やプロジェクトの垣根を越えて会話をしていると思いますが、体験してみて率直にどう感じられましたか?

西森 平井さんから内容を聞いたときに、コンセプトが素晴らしいと思いました。私は普段、経営者の方々と話す機会があるんですけど、コロナ禍を受けてコミュニケーションの機会が激減しているという話をよく聞きます。そこで「我々は『hashigake』というサービスを利用しています」という話をすると、「それはいいですね。紹介してくれませんか」と皆さん興味を示されるんです。

コミュニケーションの機会が減っている中で、社内のコミュニケーション量を上げる施策としてこれ以上ないものだと思っています。隙間時間を使って利用できるし、自分のよく知らない人、話したこともない人たちと自動的にマッチングしてくれる点が特に素晴らしい。テーマも自動的に振り分けてくれますし、本当にいいことずくめだと思います。

島田 システムが自動的に相手を選んでマッチングしてくれるのが一番、楽しみにしている部分です。私は会ったことのない人とお話をすることが多いんですけれども、考えたこともないようなお話が聞けたり、そのお話に触発されて「こうすればいいんじゃないか」と思いついたりすることもあります。普段の仕事と離れてお話できることがとてもうれしいです。

――社員の皆さんにはどんなスタンスで、どんな目的を持って参加していただきたいと思いますか。

西森 気軽に参加してほしいですね。『hashigake』は、気軽に会話できるのがすごくいいところだと思いますので。目的としては、社内のいろいろなネットワーキングとして利用してほしいのと、他人の意見を聞く機会を増やしてほしいです。

例えば、本当は部下と話をしたいけど、なかなかその機会がないという上司の方がいたとして、『hashigake』ではテーマが自動で設定されるので、それに沿っていろいろな話をすることができます。また、年配の方や同僚の意見を聞きたいという思いがありながら、なかなかその機会がないという若い方たちも、登録するだけで会話の機会が生まれるので、チャンスだと思って気軽に話してほしいです。

それからもう1つ、副次的なメリットだと思うのは、時間が15分(1対1の場合、3人の場合は25分)に決まっているんですよ。ダラダラとやることなくタイムマネジメントができるし、いかにファシリテートしていくかといったソフトスキルもアップデートできます。そういった機会としても活用してほしいと思います。

島田 まず、皆さんに楽しんでいただきたいです。私も、初めて会話をする方だと緊張したり、うまくいかないんじゃないかと思ってキャンセルしたくなったりすることがあるんですけど、それが普通だと思いますし、うまくいかなくても次週やその次の週にもマッチングされるので、ぜひ続けていただきたいです。

『hashigake』はいろいろな考えに触れたり、自分が目標にできるようなロールモデルに出会えたりするのが1つの醍醐味です。その上で、話したり聞いたりしたことを、自分の中に行動として取り入れるのが一番、大切なことで、『hashigake』をそのきっかけにしていただきたいと思います。

平井 とにかく気楽に参加してほしいですね。相手に有益なことを伝えられなかったらどうしよう、といった心配もあると思いますが、そこは気にしなくてもいいと思っています。

それと、この『hashigake』は毎週1回、2週間に1回など、継続的にいろいろな人と話す機会が与えられるので、これをチャレンジの場だと捉えていただきたいです。チームに提案してみたいけど形になりきっていないアイデアを壁打ちしてみようとか、話す練習をしてみようとか、ファシリテーションの練習をしようとか、逆に傾聴の練習をしようとか、テーマを決めてチャレンジの場、実践の場として使っていただければ、明確な課題感を持って参加していなくても、少しずつ成長していけると思います。

『hashigake』は対話の幅を確実に広げるツール。社内からの意見でさらに改善

――平井さんから「チャレンジ」という言葉が出ましたが、CACの社員全員が共有すべき価値観『Five Values』にもつながると思います。『hashigake』で印象的だった出来事などはありますか?

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西森 面白かったのは、入社2年目の方が初めて『hashigake』に参加して、初めてトークをした相手が私だったんですよ。とにかく緊張したらしいですけど、それも『hashigake』のいいところだと思います。次は誰が来るのかな、という楽しみがあります。

最近はよく知っている人ばかりが続いているので、また、あまり話したことがない人とマッチングしたいですし、知らない人と話すのはやっぱり楽しいです。それから、他の人から聞いて「いいな」と思った話を、別の人に「あの人はこんなことを言っていて、すごく参考になったんですよ」と伝えることがあります。自分のことだけでなく、他人の経験を伝えて広めていけるのもすごくいいなと思いました。

平井 私は自分で話をしたことで改めて理解できたり、気づきを得られたりすることが結構あります。他の人からいい話を聞いて、それを他の人に話すことで、自分の中でさらに消化できることもあります。

――ぜひ他社の方にも使っていただきたいですね。

西森 先ほども話したとおり、他社の方に『hashigake』の話をすると非常に反応がいいんですよ。ソリューションとしてもすごくいいと思います。コロナ禍でリモートワークになり、コミュニケーションの量が減っている企業にとってはすごくいいと思います。

平井 コミュニケーションの量が減っているのと同時に、幅もすごく狭くなっています。『hashigake』はそれを確実に広げることができるサービスだと思います。今は社内の多くの人に使ってもらっていて、皆さんが忌憚のない意見をいろいろと言ってくださるので、それが改善にもつながっています。新規事業を進めるにあたって自社というリソースを利用できるありがたみも感じています。

――社員が新規事業に関わる場面は限られますが、『hashigake』のように利用者として関わり改善要望や意見をあげていくというのも、新規事業への関わり方の一つだと思いました。では最後に、D&I推進についてのメッセージをお願いします。

西森 D&I推進は、多様性を認め合う環境をしっかり作り、環境を作るだけでなく実際、お互いに多様性を認め合いましょうということです。『hashigake』は、そこに参加すること自体が他の人たちの意見を聞くことにつながります。だからぜひ参加してほしいですし、CACだけでなく、グループ全体に広げていきたいと思っています。

今はまだテクニカルな課題があるかもしれませんが、会社を超えて、いろいろな人とどこででも話し合える環境を作っていくことが、我々のビジョンの達成に向けて本当に重要なことです。『hashigake』に限らずいろいろなことに積極的に参加してほしいですし、それが本当の意味でのD&Iにつながるはずです。

■『hashigake』の無償トライアル参加企業募集中
CACでは現在、『hashigake』による組織活性化の効果検証をさらに進めるため、無償トライアルに参加いただける企業を募集しています。

参加条件:
・Microsoft 365の予定表(カレンダー)を利用している
 ※本年後半にGoogleカレンダーも利用可能になる予定
・費用:通常1ヵ月無料のところ、本期間内の申し込みであれば年内無料
・期間:2024年8月~10月

参加申込方法:以下のフォームからお申込みください。
https://hashigake.jp/trial/

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