cacAIアシスタントとは? 仕組みやサービスの例と導入のメリットを解説
(画像=godfather/stock.adobe.com)

AIアシスタントは、テキストや声で伝えたユーザーの要求を解析し、さまざまな作業をサポートしてくれるシステムです。近年では企業の業務効率化につながるシステムも登場し、AIアシスタントの活用シーンは大きく広がりました。

最新のAIアシスタントは、どのような業務をサポートしてくれるのでしょうか。本記事では、AIアシスタントの仕組みや例、企業が導入するメリットなどを紹介します。

AIアシスタントは質問や指示に応えてくれるシステム

AIアシスタントとは、人工知能(AI)や音声認識などの技術を活用して、ユーザーの質問や指示に応えてくれるシステムです。テキストで入力するタイプや、声で要望を伝えるようなシステムがあり、ユーザーの意図を汲みとってさまざまな作業を助けてくれます。

一般に認知されるようになった最初のAIアシスタントとしては、Apple社のiPhoneやMacbookなどに搭載されている『Siri』があります。2011年に初登場した『Siri』は、メッセージの自動返信やアラームの設定、日常的な質問に答えるなどの機能を備えていました。その後、amazonの『Alexa』や、特定分野の質問や相談に応答してくれる特化型のAIアシスタントが多数、登場しています。また、AIアシスタントは多くのデバイスに搭載されユーザーの身近なものになるとともに、企業内の業務もサポートしてくれるように発展しています。

AIアシスタントの仕組みと技術

AIアシスタントに活用されている技術は、「音声認識」「自然言語処理」「機械学習」の3つに分けられます。

cacAIアシスタントとは? 仕組みやサービスの例と導入のメリットを解説
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わかりやすい例として、声に反応するAIアシスタントの仕組みを解説 します。ユーザーが要望を伝えると、AIアシスタントは音声認識で声をテキストデータに変換し、自然言語処理の技術で解析します。出力内容(処理方法)は機械学習の程度によって変わり、学習モデル次第ではユーザーの好みや傾向に寄り添ったサポートが可能です。

近年では大規模言語モデル(LLM)が登場し、より自然なコミュニケーションを取れるようになりました。音声認識や機械学習も進歩している影響で、出力内容の精度が上がってきています。

業務に役立つAIアシスタントの例

ビジネスに特化したAIアシスタントは、どのような作業をサポートしてくれるのでしょうか。ここからは 、会社業務に役立つAIアシスタントの例をご紹介します。

タスクの洗い出しや優先順位づけ

AIアシスタントには、事業の目標 と個々の業務を紐づけて、必要なタスクを洗い出してくれるシステムがあります。

たとえば、クラウド型のプロジェクト管理ツールの『Asana』は、チームのタスクやプロジェクトを効率的に管理することが可能です。タスクの作成、割り当て、期限の設定、タスクの進捗管理ができ、カンバンボードやリストビュー、タイムラインなど複数の表示形式を利用できます。

『Slack』や『Google Drive』などの外部ツールとも連携可能で、チームのコラボレーションを円滑にします。AIアシスタントは古い固定観念やバイアスに縛られることがないため、各プロセスやワークフローは柵なく、効率性重視で組み立てられます。

<タスク管理に役立つ『Asana』の主な機能>
・タスクを作成し、期日を設定し、担当者を割り当てることができる
・プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握でき、チーム全体が同じ情報を共有することができる
・各タスクにかかる時間を予測し、全体のスケジュールを立てる
・作業内容を伝えると、最適なワークフローを構築する
・ユーザーとAIがアイデアを出し合いながら、必要なタスクを作成する

参考:asana公式サイト asanaとは

スケジュールの管理

利用するAIアシスタントによっては、長期のスケジュールやプロジェクトの管理を任せることも可能です。

たとえば、『Google Workspace for Gemini』を利用することで、スケジュール管理や効率的なプロジェクト管理が可能になります。Googleの生成AIである『Gemini』がGoogleカレンダーにある過去のスケジュールやGmailのやり取りを分析し、会議の候補日を自動でリストアップしてくれるため、調整の手間が削減できます。

また、GmailやGoogle Chatでの会話から、『Gemini』が「このミーティングをカレンダーに追加しますか?」と提案してくれます。ワンクリックで予定を登録できるため、手動入力の手間を省けます。

<スケジュールの管理に役立つ『Google Workspace for Gemini』の主な機能>
・予定変更が発生した場合に、自動でスケジュールを調整する
・期日の迫ったタスクがあるとデバイスに通知をだす
・参加者のスケジュールをもとに、打ち合わせや会議の日時を自動設定する
・発生確率の高いリスクを予測し、対応策を提案する

参考:asana公式サイト asanaとは

情報共有の自動化

情報の要約やメールの自動作成などが得意なAIアシスタントは、社内外での情報共有をスムーズにしてくれます。

たとえば、『Zoom AI Companion』は生成AIを活用したAIアシスタントで、利用者の生産性の向上や効率的なコラボレーションを支援してくれます。

主な機能として、会議中のリアルタイム文字起こしや要約、会議で決まった次のステップの提案を行います。これにより、議事録作成の手間を削減し、会議内容を簡単に共有でき振り返ることが可能です。また、チャットやメールの返信案の生成、アイデア提案など、幅広いサポートを行なってくれます。

そのほかにも、『Zoom AI Companion』は多言語対応も進んでおり、会議で話されている言語を自動的に検出し、サポートされている36の言語で会話を要約します。これによって、さまざまな言語を使用するチームが効果的にコミュニケーションを取ることが可能です。

<情報共有に役立つ『Zoom AI Companion』の主な機能>
・AIが会議の内容をリアルタイムで文字起こしを行い分析し、要点を自動的に抽出する
・会議中に決定されたタスクやアクションアイテムを抽出する
・チャットやメールの返信案を生成する
・多言語に対応しており、多国籍のチームとの円滑なコミュニケーションが可能

参考:Zoom AI Companion公式サイト Zoom AI Companion で業務を効率化

問い合わせへの自動対応

AIアシスタントには、顧客からの問い合わせに自動対応し、ユーザーの自己解決を促すシステムも存在します。

たとえば、ChatGPTとの連携機能がある『チャットプラス』は、よくある質問などにAIアシスタントが自動回答してくれるサービスで、チャットボットとしてWebサイトの右下で多く使われるようになりました。社内のさまざまなナレッジを学習用のデータとすれば、社内のヘルプデスクとしても活用できます。また、カスタマーサポート(オペレーター)に、ユーザーからの質問と関連度の高いQ&Aを予測表示する機能としても利用でき、ユーザーの満足度を高める効果が期待できます。

<問い合わせに役立つ『チャットプラス』の主な機能>
・ユーザーからの問い合わせに対して、自己解決を促せる回答を自動生成する
・関連度が高いQ&Aを自動生成または表示する
・カスタマーサポートの質を上げる提案やフィードバックを行う

参考:チャットプラス | チャットプラス株式会社 | チャットボット | AI製品・サービスの比較・検索・資料請求メディア「AIsmiley」

AIアシスタントの導入メリット

自社に合ったAIアシスタントを選ぶには、具体的な導入効果を理解しておく必要があります。ここからは3つの点に分けて、企業がAIアシスタントを導入するメリットについて解説します。

1.業務効率化を実現できる

AIアシスタントの得意分野は、タスクやスケジュールの管理だけではありません。サービスによっては議事録やプレゼンテーション資料を自動作成するなど、タスク自体を代行してくれます。

ほかにも事務作業で困ったときに解決策を提案したり、添付した経営データを分析したりなど、AIの活用分野は着実に広がっています。技術の進歩により、さらに多くの業務効率化につながる可能性があるでしょう。

2.ヒューマンエラーを防げる

AIアシスタントは機械的に処理を行うため、計算ミスなどのヒューマンエラーを防げます。人間のように疲れたり、感情や気分で作業の質が変わったりすることはありません。間違った設定やメールの誤送信をしないなど、システムの操作ミスを防ぐ効果も期待できます。

3.個々のユーザーにパーソナライズな対応ができる

細かい顧客データを管理してくれるAIアシスタントも存在します。収集したデータを活用すれば、一人ひとりの特性に応じた商品の提案や、丁寧に問い合わせ対応をするシステムを組むことも可能です。

幅広いユーザーにパーソナライズした対応をとることは、今後のAIアシスタントには必須な機能になるでしょう。

AIアシスタント導入時の注意点

AIアシスタントはそれが利用される環境の影響を受けることがあります。また、それを利用するユーザーのスキルによっても効果が変わります。ユーザーの個人情報を扱う場合は、特にセキュリティ体制も強化しなければなりません。自社に合ったシステムを選ぶために、導入前には以下の注意点も意識しておきましょう。

1.環境音の影響を受ける場合がある

音声認識に対応したAIアシスタントは、利用シーンで使いやすさが変わります。商業施設のように雑音が多い場所では、指示中に周りの音声を拾ってしまうかもしれません。

静かな場所で利用する場合も、機密情報などは周りに聞かれないように注意する必要があります。基本的には社内や自宅など、AIアシスタントに指示を伝えやすく情報漏えいの不安がない場所を選んでもらうか、マイクやヘッドセットを利用してもらうことをユーザーに推奨すると良いでしょう。

2.使用者側のスキルも求められる

AIアシスタントの出力結果は、質問の仕方や指示内容によって変わります。たとえば、新規事業のアイデアを提案してもらう場合に、以下の質問をしたとしましょう。

<質問①>
顧客データを参照し、当社製品の●●に関心が強そうな顧客属性を教えてください。
<質問②>
当社製品の●●は、現時点で30代女性の顧客が▲▲%を占めています。顧客データを参照し、ほかに関心がありそうな顧客属性をまとめてください。●●の強みは▲▲、弱みは■■です。

質問①の回答には、現時点でのターゲット層も含まれることが予想されます。一方で、質問②ではより詳細な情報を提供しているため、新たな事業機会につながる顧客層だけを提案してもらえます。

AIアシスタントをうまく活用するには、各AIアシスタントの特性を理解したうえで、十分な情報を提供しつつ正確に指示を伝えることが重要です。AIアシスタントを導入しただけですべての課題が解決する可能性は低いため、使用者のスキルレベルを上げることも考えましょう。

3.セキュリティ対策が必要になる

AIアシスタントの仕様によって、ユーザーの質問内容がAIアシスタント側の学習データとして利用されるものと、そうでないものがあります。前者の場合、質問の中で、会社の機密情報や営業情報、個人に関する情報に言及することはリスクがあります。

サイバー攻撃などへの対策、機密情報や個人情報が漏洩しないような対策といった基本的なセキュリティ対策とともに、AIアシスタントに質問していい範囲、飲食店や公共のフリーWi-Fiを利用しないなどユーザーへの注意喚起も必要です。

AIアシスタントが役立つ業務を探してみよう

AIアシスタントは、業務の効率化や生産性向上に貢献する便利なツールです。音声認識や自然言語処理、機械学習などの技術を活用し、タスク管理やスケジュール調整、情報共有の自動化を実現します。

また、AIアシスタントの導入には業務効率化やヒューマンエラーの防止、パーソナライズ対応の強化といったメリットがある一方で、環境音の影響やセキュリティ対策、使用者のスキル向上も重要な課題です。

今後、AI技術の発展により、さらに幅広い業務での活用が期待されています。自社に適したAIアシスタントを選び、業務の効率化を進めてみてはいかがでしょうか。

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