自然豊かな雲仙市

それぞれのフィールドで、新たな価値を生むべく業務にあたるCACメンバーに注目。
培ったノウハウや技術でイノベーションを起こし、どう未来の扉を開けるのか?!

>第1話(本記事)
>第2話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。一歩ずつ前に進んだ2年目の記録』
>第3話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。最終年の記録』

デジタルテクノロジーを駆使して地域課題の解決や地方創生にも取り組むCAC。雲仙市との間で、デジタル化推進および観光振興に向けた協定を2021年に締結。現地に事業開発本部の中村星斗を派遣。本記事は、中村の雲仙市での3年に渡る取り組みを纏めた記事である。

物語の舞台は、長崎県雲仙市。
島原半島の北西部に位置し、普賢岳や有明海など豊かな自然に囲まれた街。

自然豊かな雲仙市
(自然豊かな雲仙市)

降り立ったのは、入社4年目、事業開発本部の中村星斗。
千葉県出身で、長崎には、旅ですら一度も訪れたことがない。
雲仙市とCACで「地域活性化起業人」の協定が結ばれたため、この地にやってきた。

CAC 事業開発本部 中村星斗
(CAC 事業開発本部 中村星斗)

初めての登庁の日。関東から来た若者を、あたたかく迎えてくれる役所の人たち。
受け入れ先だった政策企画課の上司は、大いなる期待を持ってこう言った。
「雲仙に、新しい風を吹かせてくれ!」

あたたかく迎えてくれた雲仙市役所の皆さんと
(あたたかく迎えてくれた雲仙市役所の皆さんと)

中村への期待が大きいことの表れだったが、スケールが大きい故、
どこから手をつければいいのだろうと、少し戸惑った。
これから3年、どんな生活が待っているのだろう……

中村の雲仙の住まいは、生まれ育った千葉とは違い、
目の前には田んぼが広がり、窓からは雄大な雲仙岳が一望できた。

雄大な雲仙岳
(雄大な雲仙岳)

これまで実家暮らしだったため、初めての一人暮らし。
料理の経験はなく、目玉焼きってどうやって作るんだろうと戸惑った。
(上司に目玉焼きの作り方を聞いたという!)

かくして、期待と不安が交差する雲仙での生活がスタートを切る。
中村に与えられたミッションは、雲仙市のデジタル化推進。

派遣された1年目は、市役所政策企画課に所属。
「雲仙市総合計画」の「デジタル化推進計画」に携わる。
総合計画は、企業でいう中期経営計画にあたる重責のため、身は引き締まる。

雲仙市役所
(雲仙市役所)
政策企画課でデジタル化推進計画の作成に携わる
(政策企画課でデジタル化推進計画の作成に携わる)

デジタル化推進計画を纏めるのに加え、庁内のDXを推進する役割も担った。
だが、庁内を見回してすぐに気がついたのは、自治体に根強く残る紙文化だ。
会議は必ず紙資料。時には、それまでやり取りをしていた何通ものメールがプリントアウトされ、
配布されることすらあった。

一口にDXと言っても、デジタルに慣れ親しんでいる企業でDXを推進するという話ではない。
長きに渡り庁内に根付いてきた慣習を変え、新たにデジタルカルチャーを浸透させなければいけない。

染みついた慣習を変えることほど難しいことはない。
乗り超えるべき壁は高いが、市役所の中を変えなければ、雲仙市のデジタル化推進はあり得ない。
どこから手をつけるのか?

中村の最初の一手は、少しな意外なことだった
ノーコードアプリで「市役所の避難所マップ」を作ったのだ。

職員の木下さんは、こう振り返る。
「中村さんは、パソコン1つでなんでも作れちゃうので驚きましたよ。ノーコードアプリも便利なツールだって分かりました」

口頭で説明するよりも、デジタルの利便性を実感してもらうのが一番だと考えたのだ。
アプリをお披露目したプレゼンの効果は、てき面だった。

続いて行ったのは、役職者向けの勉強会。デジタルの重要性を幹部たちにレクチャーした。
さらに、デジタル化を担う若手職員を集め、勉強会のMeet Upを実施。

この時に用意したスライドは、実に115ページにも及ぶ。AIなどの最新動向はもちろん、雲仙の主要産業である一次産業や観光業におけるデジタルの活用例をふんだんに紹介した。

アイデアが飛び交うブレスト
(アイデアが飛び交うブレスト)

Meet Upの中で行われたブレストでは、「デジタルでどんなことをやりたいか?」をお題にすると、
若手職員たちから活発なアイデアが飛び交った。

庁内で少しずつデジタルが浸透していくよう、機運を醸成する中村。
雲仙市のデジタル化推進に向かって、一歩ずつ歩みを進めていく。

市役所での業務に加え、中村にはもう1つのミッションがあった。
それまであった観光団体を一本化し、「雲仙観光局」を立ち上げるプロジェクトだ。

設立にあたり、中村はデジタル環境の整備を任される。
グループウェアやメールシステムの導入はもちろん、PCの調達からセットアップといったキッティング作業まで、デジタル周りの全てに対応した。

さらに、観光局がゼロからの立ち上げとあり、組織としてのビジョンやミッション、
ブランディングなどにも携わる。皆の期待に応えたい一心だった。

雲仙に派遣されて1年。いつだって始まりは難しい。
これまでとは違う環境に戸惑いもしただろう。
だが、新たな環境に適応し、自ら主体的に働きかけ、業務に取り組んだ。

そして、政策企画課の一員としてデジタル化推進計画を纏めあげる。
雲仙市のデジタル化推進という大きな目標に向かって走り出した中村。
雲仙に、新たな風を吹かすことはできるのだろうか?

>>(第2話に続く)

>第1話(本記事)
>第2話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。一歩ずつ前に進んだ2年目の記録』
>第3話『 DXで地方創生に挑んだ3年の日々。最終年の記録』